第93回 ジビエ新時代!臭い硬い不味いは本当か??

アスリートフードマイスターの國井克己が
ジビエの謎と誤解を解き、アスリートのためのジビエ活用術をお届けします!

ジビエは臭い、硬い、不味い と言われる方が多い、
そのような食体験をした結果、二度と口にしたくないと言うのだ。
果たしてジビエは本当に臭くて硬くて不味いのだろうか??
魚で考えてみよう。
例えば美味い刺身と不味い刺身の違いは?
鮮度と捌き方、
鮮度の落ちた魚を血合いもろくに取らずに刺身にすると血生臭く食べられたものでは無い、
新鮮な魚を血で汚さず綺麗に捌けばとても美味い刺身となる。
ジビエも同様なのだ。

ジビエは、捕獲方法で味が大きく変わる。
美味いジビエの条件は内臓を傷つけないように捕獲して速やかに内臓を処理して
肉を冷やし、清潔に精肉すること
丁寧に扱われたジビエの肉は臭みも無く柔らかく、そして美味い!
だが、残念なことに、今までは丁寧に扱われた上質のジビエ肉は少なかった。
その結果、臭い硬い不味いと言うレッテルを長い間、張られることとなった。
近年、猟師の世代交代や意識改革によって美味いジビエが増えてきた。
しかし、食肉販売の為のジビエ肉の明確なルールも無く、市場には美味い肉不味い肉玉石混合だった。
ここにきて行政の後押しもあり、昨年末、明確な指針が国から通達された。
新鮮で安全なジビエ新時代の到来である。
解りやすく指針を説明すると
販売用のジビエは単弾を使用(散弾の禁止)
内臓の傷ついた肉の販売禁止
保健所の許認可施設で衛生的に精肉
これにより公に販売されるジビエの品質が向上した。

市場で公に販売される肉は全てでは無いが概ね安心安全良質になったと言える。

さて、アスリートにとって気になるジビエと言えば鹿であろう。
赤身のお肉でたんぱく質、ビタミン、ミネラル、どれをとっても牛肉を凌駕している。
そして低カロリーでヘルシー

そんな良いこと尽くめの鹿肉だが長い間、不遇な扱いを受けてきた。
山の猟師が好むのは脂の乗った濃厚な猪肉、
古参猟師の多くは鹿は積極的に捕獲しない。現に僕が参加している猟場でも鹿を積極的に捕獲しないグループが幾つか未だにある。
脂の無いヘルシーな鹿肉が今、アスリートに人気があることを理解してもらうのに一苦労している。

猪、鹿を捕獲する上でもう一つ注意するべきことがある。
発情期に入ると雄猪は鎧と言って脂肪が来たるべく雌争奪戦に向けてカチカチに硬くなり
雄鹿は雌を呼び寄せる為に独特の匂いを発する。
この時期の肉も美味いと言う人もいるが個人的にはお勧め出来ない。
なので発情期の猪鹿は避けたほうが良いだろう。

ある程度の基礎知識がついたら今度は実際に鹿肉を購入してみよう。
今はネット通販で比較的簡単に入手することが出来る。
入門編として柔らかいロースや腿が良いだろう。
家庭で調理するならば最初は薄くスライスして焼肉にするのがお勧め、
鹿肉は以前は肉やレバーは生でも良く食べられていたが、若干だがE型肝炎のリスクがあることが解り現在は生食は禁止されている。
なのでしっかり芯まで火を通さなければいけないが、焼きすぎると硬くなってしまう。
だから薄くきって焼肉にしてしまうのが簡単だ。
これがまた美味い!
因みに良く猟師の集まりで焼肉やBBQをするのだが、肉はほとんどがジビエで牛も豚も皆無。
特に鹿肉は淡白なので幾らでも食べることが出来る。
まずは焼肉で鹿肉の美味さを知って頂きたい。
次回は僕の営む飲食店で提供しているフレンチジビエ料理、フレンチ暦二十年のシェフの技法を家庭向きにアレンジして紹介しようと思う。

●アスリートフードマイスター
國井 克己 (くにいかつき)
飲食店主であり猟師でもある。
ジビエの捕獲から調理販売までこなすジビエのエキスパート。
猟期は愛犬を従え山を駆け巡りジビエの調達をしています。
トレーニング暦は三十年、年間平均体脂肪は10パーセント。
ジビエを使ったアスリートの食事指導と提供も行っています。

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