1. TOP>
  2. 新型コロナウイルスに負けない体に!免疫力を高める方法とは

【管理栄養士が解説】
新型コロナウイルスに負けない体に!免疫力を高める方法とは
〜生活習慣(食事・運動・睡眠)の観点から〜

2020.04.27

新型コロナウイルスに対しては、まだまだ明らかになっていないことが多く、明確な対策を講じる事が難しい状況です。 不安に思っている方も多いことでしょう。そんな中で私たち一人一人ができることは、手洗いや咳エチケットなどの一般的な感染症対策。 加えて、普段から意識的に健康管理を行って免疫力を低下させないことが大切です。
今回は、「コロナに負けない体に!」をテーマに、免疫力を高めるための3つの柱「食事」「運動」「睡眠」のポイントについて、ご紹介します。

《免疫とは?免疫力が低下するとどうなる?》

私たちの体には、「免疫」という体を守るための大切な仕組みがあります。 細菌やウイルスなど体にとっての異物が体内に侵入すると、この免疫システムが働き、侵入してきた異物から体を守ることができるのです。
昨今「免疫力」という言葉が良く使われますが、この「免疫力」が低下すると、どうなるのでしょうか?
一般的に、疲れを感じやすくなったり、風邪をひきやすくなったり、口内炎ができたりと、体に不調が起こりやすくなるといわれており、身に覚えのある方もいらっしゃるでしょう。
体が本来持っている免疫力を発揮するには、常に体のコンディションを整えておくことが大切です。

《免疫力を高めるための3つの柱》

免疫力は、日ごろの過ごし方に大きな影響を受けます。栄養バランスに配慮した「食事」と、適度な「運動」、そして質の高い充分な「睡眠」といった基本的な生活習慣を整えておくことが大切です。

《免疫力を高めるための食事のポイント 〜栄養バランス〜》

基本は、1日3食を規則正しく、バランスよく食べることです。主食・主菜・副菜のそろった食事をこころがけましょう。

・主食…ご飯、パン、麺、芋類など(「炭水化物」の供給源)
・主菜…肉、魚、卵、大豆製品などが主材料のおかず(「たんぱく質」や「脂質」の供給源)
・副菜…野菜、きのこ類、海藻類が主材料のおかず(「ビタミン」「ミネラル」「食物繊維」の供給源)

忙しさのあまりつい食事を抜いてしまう、という方も少なからずいらっしゃることでしょう。まずはおにぎり1つでも口にし、食事を抜かないという意識が大切です。ラーメンなどの一品ものを食べる習慣がある方は、定食スタイルのメニューを選ぶことで、より栄養バランスが整いますよ。

免疫力を高めるための食事のポイント

【コンビニランチの簡単バランスアップ術】

ランチはコンビニを利用する方も多いでしょう。コンビニには様々な商品が並んでいるため、自分で好きなように組み合わせられるのも魅力の一つ。
ただ、選び方によっては栄養バランスが大きく崩れてしまうことも。ここでは、よくある事例と改善ポイントをご紹介します。

●菓子パン+缶コーヒー
炭水化物や脂質に偏った組み合わせです。菓子パンはサンドイッチに、缶コーヒーは牛乳や野菜ジュースに変えることで、たんぱく質などの栄養素を補うことができます。
サンドイッチ+牛乳は、時間のない朝にもおすすめの組み合わせです。

菓子パン+缶コーヒー

●カップ麺+おにぎり
男性にありがちなパターン。炭水化物に偏った組み合わせです。カップ麺を具沢山の味噌汁やスープに変えると、食物繊維などの栄養素を補うことができます。
おにぎりは、鮭やツナ、そぼろなど、たんぱく質がとれるものを選びましょう。

カップ麺+おにぎり

●おにぎり+サラダ
女性にありがちなパターン。一見ヘルシーで体に良さそうなイメージですが、実はたんぱく質が不足しやすい組み合わせです。ゆで卵やサラダチキンをプラスして、たんぱく質を補いましょう。
サラダは、海藻やきのこが入ったものを選べると尚バランスアップできますよ。

おにぎり+サラダ

●サラダチキン+サラダ+プロテイン飲料
ダイエット中の方に多い組み合わせです。サラダチキンとプロテイン飲料で、たんぱく質はしっかりととれていますが、エネルギー源となる炭水化物が不足しています。
おにぎりをプラスして、バランスを整えましょう。

サラダチキン+サラダ+プロテイン飲料

〜おすすめのプラス一品〜

●かぼちゃの煮物・ほうれん草の胡麻和えなど、色の濃い野菜のおかず
ビタミンや食物繊維などの栄養素を補うことができます。サラダに使われる野菜は淡色野菜が多く、それだけではビタミンが不足しがちです。
ビタミン豊富な緑黄色野菜も積極的に取り入れましょう。

かぼちゃの煮物・ほうれん草の胡麻和えなど、色の濃い野菜のおかず

●カットフルーツ
ビタミンや食物繊維などの栄養素を補うことができます。間食にもおすすめです。ドライフルーツをデスクに常備しておくのも良いですね。

カットフルーツ

●ヨーグルトやチーズ
たんぱく質をもう少し補いたい時に便利な食材。間食にもおすすめです。

ヨーグルトやチーズ

《免疫力を高めるための食材のポイント 〜腸内環境〜》

免疫細胞の約7割は腸に存在するといわれているため、腸内環境を整える効果のある食材に注目してみるのも良いでしょう。食物繊維が含まれる食材(野菜・海藻・きのこ・果物など)や、発酵食品(味噌・納豆・塩麹・ヨーグルト・チーズ・キムチ・ぬか漬けなど)を、日々の食事に積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。

【腸内環境を整える簡単レシピ】

毎日の食事やおやつで、簡単に食物繊維や発酵食品を取り入れる方法をご紹介します。いずれも短時間で簡単にできるものばかりですので、ぜひチャレンジしてみてください。

〜おかず〜

●わかめときのこの味噌汁
日本の発酵食品いえば、味噌。毎朝一杯の味噌汁を、習慣にしてみませんか?
〈材料〉だし汁・味噌・お好みのきのこ・わかめ
〈作り方〉だし汁を火にかけ、適当な大きさにカットしたきのこと、わかめを入れる。火が通ったら味噌を溶く。

●きのこの塩麹和え
食物繊維豊富なきのこを、発酵食品の塩麹で和えた常備菜。色々な料理にアレンジすることも可能です。
〈材料〉お好みのきのこ・塩麹
〈作り方〉お好みのきのこ(エリンギやしいたけ、しめじ等)を適当な大きさにカットし、電子レンジでしんなりするまで加熱。最後に塩麹を適量加えて和える。

●しいたけのチーズ焼き
発酵食品のチーズと、きのこの相性は抜群!簡単にできて、お酒のあてにもピッタリの一品です。
〈材料〉しいたけ・醤油・ピザ用チーズ
〈作り方〉軸を除いたしいたけの笠の内側に醤油を垂らし、ピザ用チーズを乗せ、トースターでこんがり焼き目がつくまで焼く。

●アボカドキムチ納豆
発酵食品の納豆・キムチに、食物繊維豊富なアボカドをプラス。ご飯に乗せて、丼にするのもおすすめです。
〈材料〉アボカド・キムチ・納豆・ごま油
〈作り方〉ひと口サイズにカットしたアボカドと、粗く刻んだキムチ、納豆を混ぜ、お好みで納豆添付のタレとごま油を加えて混ぜ合わせる。

アボカドキムチ納豆

〜おやつ〜

●フルーツヨーグルト
食物繊維を含むフルーツと、発酵食品であるヨーグルトを一緒に摂ることができます。
〈材料〉お好みのフルーツ・ヨーグルト
〈作り方〉お好みのフルーツをカットして器に盛り、ヨーグルトをかける。

●にんじんとチーズのホットケーキ
いつものホットケーキにひと手間加えるだけで、見た目も栄養バランスもワンランクアップ。
〈材料〉ホットケーキミックス・卵・牛乳・にんじん・ピザ用チーズ
〈作り方〉ホットケーキの生地にすりおろしたにんじんを加える。フライパンに油を熱して生地を流し、ピザ用チーズを散らして両面を焼く。

●バナナヨーグルトドリンク
発酵食品のヨーグルトと、食物繊維豊富なバナナの組み合わせ。
〈材料〉バナナ・牛乳・ヨーグルト・はちみつ
〈作り方〉適当な大きさに切ったバナナと、牛乳、ヨーグルトをミキサーにかける。お好みではちみつをプラスする。

  • フルーツヨーグルト
  • にんじんとチーズのホットケーキ
  • ●バナナヨーグルトドリンク

《免疫力を高めるための運動・睡眠のポイント 〜日常生活〜》

国内外の疫学研究において、運動習慣がある人には不眠が少ないという傾向があることがわかっています。
1回の運動だけでは効果が得られにくいため、習慣的に続けることが重要です。
激しい運動は逆に睡眠を妨げてしまうため、負担が少なく長続きするような運動を日常生活に取り入れると良いでしょう。
屋外でのウォーキングや軽いランニング、屋内でのストレッチやラジオ体操、簡単な筋トレなどが取り組みやすくおすすめです。
掃除などの家事を積極的に行って体を動かすのも良いでしょう。窓ふきや雑巾がけ、お風呂掃除、洗車、庭掃除など、体を使う家事は意外とたくさんあります。
普段から運動習慣のある方は、目標を設定して自分に合ったプランを立てるのも良いですね。在宅勤務の方は、とくに運動量が低下しがちです。
日常生活の中に、体を動かす時間をうまく組み込むようにしましょう。

【日常生活で運動量を増やす方法】

「健康のために運動をしたほうが良いのはわかるが、毎日忙しくてなかなか時間が作れない」という方もいらっしゃるでしょう。ここでは、短い時間で気軽にできる簡単な運動をご紹介します。
取り入れられそうなことがあるか、チェックしてみてくださいね。大切なことは、毎日継続することです。
・エレベーターではなく階段を利用する
・電車やバス移動の際は、一駅分歩く
・あえて遠くのトイレを利用する
・デスクワークの合間にストレッチをする
・ニュースを見ながらストレッチや筋トレをする
・車で出かける際は、あえて遠くの駐車場に置き、歩く距離をのばす
・自宅から最寄り駅まで、あえて遠回りして歩く
・歯磨きをしながらスクワットをする
・髪を乾かしながらスクワットをする

日常生活で運動量を増やす方法

また、睡眠に関しては、「質の高い睡眠を充分にとる」ことが大切です。日本人、とくに子供たちや就労者の睡眠時間は世界で最も短いといわれています。
慢性的な睡眠不足は、日中の眠気や意欲低下・記憶力減退など精神機能の低下を引き起こすだけではなく、体内のホルモン分泌や自律神経機能にも悪影響を及ぼすことが知られています。
例えば、4時間睡眠を二日間続けただけで食欲を抑えるホルモンであるレプチン分泌は減少し、逆に食欲を高めるホルモンであるグレリン分泌が亢進するため、食欲が過剰に増大してしまうことがわかっています。
寝不足によって私たちの食行動までもが影響を受け、実際に慢性的な寝不足状態にある人は糖尿病や心筋梗塞、狭心症などの冠動脈疾患といった生活習慣病に罹りやすいことが明らかになっています。

【質の高い睡眠を充分にとる方法】

・就寝前はなるべく早めに夕食を済ませる
就寝に近い時間の夕食や夜食は、消化活動が睡眠を妨げてしまうため、なるべく控えましょう。
就寝の3時間前までに食事を済ませることが理想的ですが、それが難しいときは「分食」がおすすめです。
夕方におにぎりやサンドイッチなどの軽食をとり、帰宅してからの食事のボリュームを軽くすることで、消化器官の負担を和らげることができます。

・就寝前のカフェイン、ニコチン、アルコール摂取を控える
コーヒー・緑茶・紅茶・チョコレートなどのカフェインが含まれる飲食物には覚醒作用があります。
一般的に就寝前 3〜4 時間以内のカフェイン摂取は、入眠を妨げたり、睡眠を浅くする可能性があるため控えた方が良いといわれています。
敏感な人は就寝の5〜6時間前から控えた方が良いでしょう。就寝前の喫煙もニコチンが刺激剤として作用するので好ましくありません。
また、睡眠薬がわりに飲用されることの多いアルコールも決して勧められません。アルコールは寝付きをよくしますが、飲酒後に体内で発生するアセトアルデヒドによって中途覚醒を招きやすくなり、熟睡感を得られなくなってしまいます。

・就寝前の入浴で体を温める
深い睡眠をとるには、就寝前の入浴によって体温を一時的に上げることも効果的です。
体温が0.5度〜2度ほど上昇することで、寝付きが良くなるという効果が認められています。
いつも簡単にシャワーで済ませているという方は、湯船につかってみてはいかがでしょうか。
38度のぬるめのお湯であれば25〜30分ほど、42度の熱めのお湯であれば5分ほど、腹部まで湯船につかる半身浴であれば約40度のお湯で汗をかく程度に入浴するなど、自分の体調や好みにあった入浴で体を温めると良いでしょう。

・就寝前に明るい光を見ないようにする
スマホやパソコン、テレビなどのディスプレイに使われるブルーライトには覚醒作用があるといわれています。
寝る前にこれら電子機器などの明るい光を見てしまうと、脳がまだ昼間だと勘違いして、睡眠を促進する作用をもつメラトニンの分泌が抑制されてしまうためです。
就寝の1〜2時間前は、電子機器の利用を控え、部屋の照明をやや暗めに切り替えたり、間接照明にするのも効果的です。

質の高い睡眠を充分にとる方法

《まとめ》

今回は、「コロナに負けない体に!」をテーマに、免疫力を高めるための3つの柱「食事」「運動」「睡眠」のポイントについて、ご紹介しました。
それぞれのポイントを、以下でおさらいします。

<免疫力を高めるための食事のポイント>
・1日3食を規則正しく、主食・主菜・副菜のそろった食事をこころがけましょう。
・コンビニを利用する場合は、商品の組み合わせを考慮したり、プラス一品で栄養素を補うなどの工夫をしましょう。
・腸内環境を整える効果のある食物繊維が含まれる食材(野菜・海藻・きのこ・果物など)や、発酵食品(味噌・納豆・塩麹・ヨーグルト・チーズ・キムチ・ぬか漬けなど)を、日々の食事に積極的に取り入れましょう。

<免疫力を高めるための運動のポイント>
・負担が少なく長続きするような運動を日常生活に取り入れましょう。
・運動の時間を確保できるときは、屋外でのウォーキングや軽いランニング、屋内でのストレッチやラジオ体操、簡単な筋トレなどがおすすめ。
・運動の時間を確保できないときは、日頃の習慣を少し変えて意識的に歩く距離をのばしたり、家事をしながら体を動かすなどの工夫をしましょう。

<免疫力を高めるための睡眠のポイント>
・就寝3時間前までを目安に夕食を済ませることや、「分食」によって就寝前の消化器官の負担を和らげることを意識しましょう。
・就寝前のカフェイン、ニコチン、アルコール摂取を控えることで、深い睡眠を長くとれるように体内を整えましょう。
・就寝前に入浴で体を温めましょう。また、就寝前にスマホなどの電子機器の利用は控え、なるべく明るい光を見ないようにこころがけましょう。

免疫力は簡単にアップするものではなく、日ごろの過ごし方がとても重要です。
栄養バランスに配慮した「食事」、適度な「運動」、質の高い充分な「睡眠」といった基本的な生活習慣を整え、継続をすることが大切です。
まずは自分の生活習慣を見直し、今日からできることをコツコツ積み重ね、免疫力の低下を防ぎましょう。
これを機に生活習慣を見直すことが、将来の生活習慣病を予防したり、いつまでも若々しい体を維持することにもつながります。
いきなり完璧を目指すのではなく、無理なくできることから一歩ずつ、楽しみながら改善していくのがポイントです。

<参考>
首相官邸「新型コロナウイルス感染症に備えて」
"国立健康・栄養研究所「新型コロナウイルスについて」
"厚生労働省「生活習慣病予防のための健康情報サイト」e-ヘルスネット



尾上 雅子 <執筆者>
尾上 雅子 / 管理栄養士
大学卒業後、食品メーカーにて品質管理・商品企画・広報などの業務に携わる。
現在は、企業やクリニックにてビジネスパーソンの健康サポートを行うとともに、商品・サービスの監修、コラム執筆など、食と健康の分野で活動中。