第73回 良質な油を摂ろう

アスリートフードマイスターの池田 清子が
実践している食生活のほか、海外の食事情などについてもお伝えします。

こんにちは、アスリートフードマイスターの池田清子です。今回はアスリート、特に減量中には敬遠されがちな“オイル・油”について実践していることをご紹介します。

プロマウンテンバイクライダーの池田祐樹の妻として普段は食事面などサポートに徹していますが、今年6月に行われた「ヒルクライム イン おんたけ」というレースに、私も選手として初めて挑戦してきました。コース概要は距離にして24km・平均勾配5.3%・御嶽山を標高890mから2180mまで一気に駆け上がる(登りのみ)、というもの。選手の気持ちになって、少しでもサポートに役立てたいという想いからでした。

このレースはマウンテンバイクプロレーサーの夫・池田祐樹選手も毎年恒例のレースの為、既に参戦することが決まっていました。レースまで約4週間。食事の面では“より一層、登りに対応出来る身体造り”を意識しました。一言で言えば『減量』ですが、元々体脂肪が8%前後の夫です。「ただ痩せる」という訳にはいきません。連日のハードなトレーニングとリカバリーに必要なエネルギーと栄養素は過不足無く摂りながら、尚かつ体調は絶対に崩さない減量がスタートしました。

減量=食事は全てノン・オイル?いえいえ、その逆。オイルを味方につけて、身体の中から痩せ易い体質を作ろうではありませんか。

オイルは生きていく上でエネルギーになったり、良質な肌を保ったりする為に身体にとって必要不可欠なもの。極端に排除してはいけません。ただ、そのオイル=脂質をどこから摂るかが重要です。

 私たち夫婦は消化に消耗するエネルギーを回復に回すことなどを考慮して、肉や魚、卵や牛乳、ヨーグルトなどの乳製品も含めて実験的に動物性食物を摂ることを止めてみました。動物性の脂質はコレステロールが高く、身体に蓄積され易いこともよく知られていると思います。
しかし大事な脂質を全て失ってはアスリートとしてもパフォーマンスに影響がでますし、それ以前に何より健康でいたいですよね。そこで、前記した様に見直したのが植物性の“オイル”。以前から気を遣ってはいましたが、一層良質なものに着目。使用頻度を増やしたり新しく購入したりして、早速毎日の食事に取り入れました。

今愛用しているオイルはこちら
(左から)
・ココナッツオイル
・インカグリーンナッツオイル
・えごま油

これらのオイルには、必須脂肪酸“オメガ3脂肪酸“の一つである“α–リノレン酸”が豊富に含まれていて、脂肪を燃焼する効果や中性脂肪を下げる働きがあります。“α–リノレン酸”は青魚にも多く含まれているEPAやDHAに変換され、血管を強くする効果があります。
また“オメガ9脂肪酸”が含まれるアボカドやクルミなどのナッツ類も摂取しています。

更にこれらのオイルの“使い分け”をしています。
例えば、ココナッツオイルとインカグリーンナッツは加熱してもオメガ3が変化しにくいので、パンケーキや野菜のオーブン焼き、炒め物など火を使う際に使用します。えごま油は生のまま食した方がおススメです。私はサラダのドレッシング代わりに使用。野菜に塩・コショウ・バルサミコ酢を垂らし、最後にえごま油を細くひと回し。オイルをかけることで、野菜の味が一層引き立ちとても美味しいのです。

減量中は特に、“見えない油”にも注意が必要です。外食や加工食品ではどのような原料・油を使っているかまでは中々分かりません。揚げ物はカラッと上がる程、残念ながら身体に蓄積され易い油です。また、もう一つ“油の酸化“も注意が必要です。私が学生時代アルバイトをしていたドーナッツ屋では、月に数える程しか油を変えていませんでした。酸化した油は身体も酸化させます。酸化=老化につながります。保管も大事。インカグリーンナッツオイルもえごま油も「開封後は冷蔵保存」と書かれています。他のオイルもコンロの火や日光が当たる場所には絶対に置いてはいけません。いくら良質なオイルでも酸化しては元も子もありませんね。

搾取の製法も表示してあると尚よいですね。私は薬を使って種子から搾取する方法ではなく(市場に出回っている大半が、抽出の為の溶剤を使用するなど化学的な処理がなされています)、プレスして抽出する圧搾法を出来るだけ選びたいと思っています。また、容量も大きいと酸化が進んでしまいますので新鮮なうちに使い切れる量を選びたいものです。個人的には、開封後2ヶ月以内に使い切ること目安としています。また、オーガニックの油は多少値が張りますし、置いているお店も限られています。しかし良質な油を必要量(摂り過ぎにも勿論注意)摂取することは、病気などを防ぐ要因の一つとなったり、身体を作る大事な栄養素として活躍してくれたりと、長い目で見れば経済的だと私は考えています。身体の代謝を促し、ダイエットに余計なお金をつぎ込まなくてもいいかも知れませんしね!

さて、レース当日。減量にも成功し、風邪も引かずに迎える(これはとても重要!)ことが出来ました。結果は、マウンテンバイク部門で夫婦ともに「優勝」でした(マウンテンバイカー女子の部は私一人でしたが!)。ヒルクライムをキッカケに見直した油ですが、これからも上手に付き合いたいと思います。油は敵ではなく、味方なのです。

アスリートでなくとも、油にフォーカスすることは成人病などを防ぐ大事な一歩となるでしょう。外食が避けられない方も「出来る限りどのような油が使われているか表示を見る」「家庭用の油など選択出来る環境から見直してみる」ことから始めてみてはいかがでしょうか。

●アスリートフードマイスター
池田 清子(いけだ さやこ)
アスリートフード研究家。夫はマウンテンバイクプロライダー、池田祐樹選手(トピーク・エルゴンレーシングチームUSA所属)。モデル事務所でのマネージャー経験を活かし、現在は夫のマネージメントを行う。「五感で食べる」をモットーに、カラーコーディネーターの資格を生かした色彩豊かな食卓と、満足感と栄養バランスを兼ね備えた献立を研究する日々。

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