第140回 トラママのつぶやき『レース中の補給食』

アスリートフードマイスター2級の篠原知美が
数々のトライアスロン出場経験から“アスリートフード”についてお伝えします。

 みなさん、こんにちは。アスリートフードマイスターの篠原知美です。今年もスギ花粉が飛び始めましたね。今日も鼻をムズムズさせながらBikeに乗ってきました。
 
今回もトライアスロン豆知識から(笑)
よく「トライアスロンをやっている」と言うと「じゃあ、鉄人、アイアンマン(IRONMAN)なのですね!」と言われます。トライアスリート=鉄人??確かに強靭な肉体と精神の持ち主も多いので鉄人かもしれません。しかし、正確に言うとそれはちょっと違うのです。
『IRONMAN』というのは、トライアスロンのロング(S:3.8km、B:180km、R:42.195km)のレースで、WTC(World Triathlon Corporation)の商標登録であり、その大会を完走した人に“IRONMAN”という称号が与えられます。
ちなみに、日本4大ロング大会の宮古島を完走すると『強人STRONG MAN』、佐渡は『ASTROMAN』、長崎五島は『BARAMON KING』、皆生は『勇者BRAVE』など、大会ごとにそれぞれの称号が与えられるのです。
そして、トライアスロンは2000年のシドニー大会より夏のオリンピック正式種目となりました。
オリンピックでは、ショート、スタンダード、またはオリンピックディスタンスと呼ばれるS:1.5km、B:40km、R:10kmの距離を競います。
そして「長いのと短いの、どっちがキツいの?」という質問もよく受けますが、距離が短くなるとそれだけスピードも速くなるため、心拍数は上がります。ですので、どちらがキツいかはその人によって、また同じ大会でもその日のコンディション(天気、気温、風、海の状態など)によってまったくキツさが違ってきます。ですので、タイムよりも順位が重要になります。
SwimからBikeに、BikeからRunに移る時(トランジション)、ウェットスーツを脱いだり、Bikeシューズを履いたり、Runシューズに履き替えたりなど、その時間もすべて競技時間に加算されます。
プールや温泉に一緒に行った時、着替えや準備がスムーズで速い方は、トライアスロンに向いていますね!(笑)
レース中は、トランジションの時間短縮のため、Bikeに乗りながら飲んだり、食べたりします。
ロングの場合、Bikeを約6時間こぎ続けなければならず、その後にフルマラソンが待っています。
例えば(ざっくり計算して)、体重60kgの男性が3kmを1時間で泳ぐと約550kcal、平均時速25kmで7時間Bike走行すると4000kcal弱、 そして42.195kmを走ると約2500kcal。合計すると7050kcal!
(体重や時間、その他によって消費カロリーは違います。)
マラソンだけでも1日のカロリー消費量に値するのに、その前にSwimとBikeがあるので、乗りながら補給をしていかないとエネルギー切れで倒れてしまいます。
消化吸収は人によって異なりますが、私の場合は基本的に、30分おきにスポーツドリンクなど糖質を含む飲料を飲み、約1時間おきにジェル、おにぎり、スポーツようかん、カステラなどを摂るようにしています。また足攣り防止のために塩分、カリウム、マグネシウムなども摂ります。最近は便利なことに、それらに特化し多く含むジェルやドリンクも市販されています。
宮古は気温が高く、より汗をかくため、熱中症になりやすく塩分の補給が非常に重要になります。
私は毎回、塩分とクエン酸を摂るためにフリーズドライの梅干しをまぶしたひと口サイズのおにぎりをいくつも作り、Bikeジャージのポケットにしのばせて(詰め込んでw)います。消化に時間のかかる海苔は巻かず、玄米ではなく白米で作ります。
ジェルも一般にはみなさんはカロリーオフや低カロリーのものを選んでいると思いますが、レース中は荷物にならないように、小さくても少しでもカロリーの多いものを、小さなパッケージでも200kcal以上摂れるようなものを選びます。その梅干しおにぎりとジェルなどを交互に摂ってハンガーノックを防ぎます。
梅干しを携帯する選手は多いですが、練り梅のチューブをブチューと吸っている(飲んでいる?)方もいます。以前、友人が現地で練り梅チューブが売り切れていたため、仕方なく似ている?とその隣にあったコチュジャンを買って、レース中にブチューしたそうですが、それは大失敗だった模様(笑)(よい子はマネをしない!)
その他、スポーツようかん(普通のようかんですが、片手で押して食べられるようになっています)、大福、カステラ、ブラウニー、バナナケーキ(宮古のお土産で有名なモンテドールなど)、手作りシリアルバーなど。あまりパサパサするものだと、口の中の水分が奪われてしまい、むせったり喉が詰まったりするので注意です。私の失敗談では、初めて那覇マラソンに参加した時に、沿道の方から、沖縄で有名な揚げドーナッツwを手渡され、それを頬張ったのですが...その後喉が詰まってしまい、走りながらそれはそれは苦しい思いをしました。とっても美味しかったのですけどね。レース後に、沖縄の友人から「それと◯んすこうはレース中に絶対食べてはいけないものだよ!(笑)」と聞きました(^_^;)
みなさん、自分が好きなもの、取りやすいものを考えチョイスしています。

 レース中のエイドには、食べ物はバナナ、オレンジ、レモン、塩おにぎり、梅干し、黒糖、塩など。
飲み物は、大会スポンサーによって異なりますが、水、アクエリアス、Cokeの3種類。
「激しい運動をするのにCoke??」と思われるかもしれませんが、トライアスロンの大会ではあるのです!Cokeには糖分はもちろんカフェインも含まれていて、血糖値がポーンと上がり元気が出ます。が急激に上がった血糖値はその後急激に下がり...そうなると、カラダはもうCokeしか受け付けなくなってしまいます。禁断症状のような感じですね(笑)
Bikeのスタート時からエイドにCokeはありますが、後々のことも考えて、できるだけCokeはRunに入ってから、後半で飲むようにしています。しかし去年の宮古では、Bike中盤で誤ってCokeのボトルを受け取ってしまい、えーーーと思いながらも喉はカラカラ。またそのCokeが冷えていておいしいこと(≧▽≦)お陰でBike残り80kmとRun42.195は、Cokeオンリーになってしまい、走りながら 「Coke、Coke、次のCokeはまだか~!」と。ちなみにエイドでは、そのCokeに疲労回復のクエン酸を含むレモンを絞って飲んでいました。とりあえず、いろいろ事件?はありましたが、出場した宮古は2回とも無事完走!
完走できたのは、トレーニングだけではなく、日々の食事(アスリートフード)のお陰だと本当に実感しています。そのあたりを次回お話できたらと思います。

●アスリートフードマイスター2級
篠原 知美 (しのはら ともみ)
子育てをする2児の母でありながら、現役トライアスリート。第1回木更津トライアスロン(スプリントの部)での初代チャンピオンをはじめ、数々の大会で入賞経験あり。
2015年全日本トライアスロン宮古島大会では、完走率が52.2%という悪天候の中、また故障中にもかかわらず見事完走を果たす。
自らが競技を通して得た経験から、パフォーマンス向上を目指す上で、食の大切さを実感。国際線客室乗務員という前職の経験を活かし、現在アスリートフードマイスターとして、トライアスロンをはじめ、スポーツをする方々への食事指導、AFM養成講座のアテンドスタッフとして後輩の学習サポートや説明会にてアスリートフードマイスターの啓蒙活動に参加中。

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