第142回 トラママのつぶやき「プロテインは筋肉をつくる?!」

アスリートフードマイスター2級の篠原知美が
数々のトライアスロン出場経験から“アスリートフード”についてお伝えします。

 みなさん、こんにちは。アスリートフードマイスターの篠原知美です。食事や栄養についていろいろ質問を受けますが、今回はその中でも質問の多い『プロテイン』についてお話しすることにします。

 プロテインとはたんぱく質のことですが、一般に『プロテイン』というと、粉末を入れて牛乳や豆乳、水で割ってシャカシャカするヤツですね。運動をされる方は特にですが、『プロテイン』はとても人気があるようです。今回いう、『プロテイン』はそのサプリメントのものをさすことにします。
 先日、ダイエット中のAさんが、「夕食後のデザートにプロテイン!寝る前にも。」と言っているのを聞きました。Aさんは、ご飯、納豆、肉野菜炒め、豆腐のみそ汁など、たんぱく質もしっかりと食事で摂っていました。アスリートフードマイスター的にもちょっと興味があり
「なぜ、プロテインを飲むのですか?」と尋ねてみると
「プロテインを飲むと筋肉がつくのです!」と自信満々な回答が返ってきました。
そうなんです。「プロテインを飲めば(飲むだけで)筋肉がつく!」と思っている方がいまだに少なくないのです。
以前、まだ運動という運動ができないような小さなお子さんに、夕食後お腹いっぱいのところに、あま~いチョコ味のプロテインを牛乳で割って毎晩飲ませている、というお母さんもいらっしゃいました。
確かに、就寝前、そして筋トレや筋肉を使うような運動をした後は、成長ホルモンの分泌が盛んになるため、そこでいち早く(30分以内、遅くとも1時間以内)たんぱく質を補給すると、筋肉の修復・強化に効果があります。もしそのタイミングでたんぱく質を含むバランスのよい食事ができれば最高なのですが、なかなか運動直後にそのような食事を摂ることは難しいでしょう。そこで開発されたのがサプリメントとしてのプロテインです。ボディービルダーさんたちが、筋トレの直後にシャカシャカしているイメージですね。
 プロテインはそれだけで筋肉増強効果がある訳ではありません。運動と併用し、さらにたんぱく質以外の栄養素も充分に摂取しなければ効果は期待できません。 
話は戻りまして、Aさんはダイエット中で、しかも筋肉をつかう、また汗をかくような運動は特にしていません。しかし、栄養は気にされて食事もしっかり摂るようにされています。そのように充分な食事をした上にプロテインを飲むと・・・どうなるでしょう??
Aさんの場合、痩せるために、また筋肉をつけて体脂肪を減らすために飲んでいるようなのですが、今の状態では、飲んだ分が“プラスのカロリー”になってしまい、結果的に体重が減らない(逆に増えている)原因になっているのでは?ということが判明しました。
 『プロテイン』といっても、たんぱく質の量が多いもの、たんぱく質量は少なく炭水化物やビタミン、ミネラルと一緒になって“代替食”的な役割を果たすもの(よくあるダイエット系)など、種類はいろいろあります。
アメフトやラグビー、野球の選手などとにかくカラダを大きくするために、1日でかなりのカロリーを摂らなくてはならない人、食べなければならないのに食が細く、カロリーがとれない人、運動後すぐに食事が摂れない場合、その他の理由がある場合などはよいでしょう。だからといって、『プロテイン』だけ摂っていればよいのでしょうか?
 たんぱく質は、炭水化物、脂質に並ぶ3大栄養素の1つで、カラダの組織である筋肉、内臓、骨などの主成分となっています。また酸素や抗体、ホルモンなどを作るためにも必要です。 
たんぱく質(の摂取量)が不足してしまうと、筋肉量の低下、骨量の低下、病気に対する抵抗力の低下、ケガの治りが遅い、貧血、肌あれ、そして子どもの場合は、成長障害などの問題も出てきます。
 しかし、たんぱく質は体内で使われる量が決まっています。
成人の1日の推奨量は、男性で60g、女性で50g(体重 x 1g)です。運動をする人はそれより少し多めに摂りますが(摂取量の1.2~1.5倍くらい)、どんなに摂っても 体重 x 2gまで(体重が60kgなら120gまで)。それ以上摂取したたんぱく質は、エネルギー源となったり(1gあたり4kcal)、体脂肪として蓄えられたりします。その上 摂り過ぎは、腎臓や肝臓に負担がかかり機能を低下させると言われています。ちなみに、1食で消化吸収できるのは、20gくらいとも。
日本の現代人の日常的な食事内容ではたんぱく質が不足することはあまりないそうです。この程度のたんぱく質量であれば『食事バランスガイド』を参考に食事をすることにより、無理なく充分な量を摂取できるようです。

 たんぱく質の目安量としては、お肉の重量の約20%として計算します。それで計算してみると100gの肉のたんぱく質量は約20g。脂が多い肉の場合のたんぱく質量は重量の約15%ともっと少なくなります。ちなみに、たんぱく質は肉や魚だけではなく、ご飯(お米)にも重量の約2.5%含まれています。牛乳で『プロテイン』を割る場合、牛乳自体にもたんぱく質は含まれていますので(200ccで6.6g)、『プロテイン』の分とダブルになります。
 たんぱく質を摂る時は、たんぱく質の合成に必要な炭水化物、ビタミンB群(特にB6)、亜鉛などを一緒に摂るとより効果的です。
ゆえに、食事から得られるたんぱく質の必要量が足りない場合に、その不足分を『プロテイン』などで補給することによって、過度な摂り過ぎを防ぐことができます。

***『プロテイン』についてのまとめ **********
①アスリート!というような運動をされない普通の人、先に述べた理由などが特にない人は、日々の食事からたんぱく質を摂れていれば、あえて『プロテイン』は追加しなくても大丈夫!
逆に、余剰に摂った『プロテイン』は体脂肪になってしまう。
②『プロテイン』を飲むだけで筋肉がつく!のではなく、運動と合わせてでないと効果は期待できない。
③『プロテイン』自体にもカロリーがあるため、代替ではなく追加で飲んでいるとカロリーも追加になってしまう。特にダイエット目的の人は要注意!
④一般に『プロテイン』には添加物なども入っているため、できれば自然の食材から摂ることをおススメします。また海外通販などで“激安商品”は要注意!たんぱく質量、添加物などの成分表示があいまいだったり、読めなかったり。できれば、きちんと成分表示のある正規のもの、メジャーどころや信頼できる大手会社のもの、信頼できる『プロテイン』を選ぶように。
目的に合わせて、きちんとカロリーや栄養などを考えて摂れるのがBESTですね!!!
⑤余談:牛乳を飲む時は、基本の正しい姿勢(ポーズ)で!
 背筋をぴんと伸ばし、左手を腰にあて、牛乳を持つ右手の小指は立てること!(笑)
 牛乳の脂質が気になる人は低脂肪のものを。

お食事は「おいしく、たのしく、意識して!」
今週も元気に過ごしましょう(^_^)/

農林水産省「食事バランスガイド」
http://www.maff.go.jp/j/balance_guide/

●アスリートフードマイスター2級
篠原 知美 (しのはら ともみ)
子育てをする2児の母でありながら、現役トライアスリート。第1回木更津トライアスロン(スプリントの部)での初代チャンピオンをはじめ、数々の大会で入賞経験あり。
2015年全日本トライアスロン宮古島大会では、完走率が52.2%という悪天候の中、また故障中にもかかわらず見事完走を果たす。
自らが競技を通して得た経験から、パフォーマンス向上を目指す上で、食の大切さを実感。国際線客室乗務員という前職の経験を活かし、現在アスリートフードマイスターとして、トライアスロンをはじめ、スポーツをする方々への食事指導、AFM養成講座のアテンドスタッフとして後輩の学習サポートや説明会にてアスリートフードマイスターの啓蒙活動に参加中。

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