第132回 ヨーロッパハンドボール<アスリートフード事情>

ジュニア・アスリートフードマイスターの嶋根理恵が
「スポーツ」「食事」「健康」をキーワードに役立つ情報をお届けします!

この夏、ヨーロッパでハンドボールの現場を視察してきました。
ヨーロッパにおけるハンドボールは、サッカーの次に人気だという国もあり、大変発展しているスポーツです。

訪れたのは、オーストリア、ドイツ、デンマーク、フランス。
ヨーロッパハンドボールの現状を伺い、数試合を観戦。
また、プロチームのアリーナと教育関連施設を見学してきました。

その中で、「食」に関連して2点レポートしたいと思います。
① 教育システムについて
② たんぱく質十分な食事について

【教育システム】
日本の多くのスポーツは、学校の体育と部活動を中心とした教育が主となっている様に思います。
そうした中、アスリートフードについて子供の頃から学ぶことは少なく、トップレベルのジュニア選手やトップアスリートになるまで本格的に学ぶ機会がないというのが現状ではないでしょうか。

一方、ヨーロッパにおけるスポーツ活動の中心はクラブチームです。多くのクラブには、トップチームのアンダーとして2部チームや年齢別のジュニアチームがあります。ですので、子供たちはクラブチームの養成機関に所属し、やがてジュニア選手→プロ選手へと成長していきます。
訪問したデンマークのクラブチームでは、ジュニア選手は寄宿舎で生活をし、選手として必要な教育プログラムを全て受けることができます。
日本で言えば、ナショナルトレーニングセンターの様な施設があるのです。


<左の建物:アリーナや練習場などの複合施設  右の建物:併設する寄宿舎>

栄養学に関しても専門の医師が週に数回一人一人に合った管理・測定とアドバイスをしているそうです。従って、スポーツ栄養マネージメントの習慣が身についていると言えるでしょう。

この子供の頃から学習できるシステムが、強靭なフィジカルを作り上げている一つの理由かもしれません。

フィジカルに関連して気がつくのが、ヨーロッパにおけるたんぱく質たっぷりの食事です。

【たんぱく質十分な食事】
ヨーロッパのハンドボールは、スポンサーにより成り立っているため、
試合の行われるアリーナにはスポンサーや関係者向けのVIPルームが用意されています。
試合終了後、選手もVIPルームに行き、懇親を深め、食事を摂ります。


<フルーツ、オリーブ等、鳥肉の前菜類>
ある大会での食事の一部です。
加えて、メインに鳥肉、パスタ、サラダがありました。
たんぱく質源となる肉類が多い食事です。

アスリートのたんぱく質の摂取適量は、
体重比2g/kg程度が上限、
総エネルギー量の15%程度以上を摂取する必要はなく、
過剰に摂取することは身体に悪影響を及ぼすと言われています。
大切なことは、バランスの良い食事をすることです。

しかし、適量上限を摂取する特にフィジカルが求められるスポーツにおいては、
不足しないように意識する必要もあるようです。

W杯で素晴らしい活躍があったラグビー日本代表エディー・ジョーンズヘッドコーチの食に関するコメントがありましたのでご紹介します。
『日本の食べ物は、たんぱく質の量がラグビー選手にとってはふさわしくありません。選手が摂る栄養を変え、ストレングスのプログラムを変えていく必要があります。』
(エディー・ジョーンズHC 2013年3月6日「みなとスポーツフォーラム」での講演から)

以前、ラグビー日本代表選手とお話する機会があり、食事について質問したところ、遠征や合宿中の食事は、大変細かく徹底した管理をされているとのことでした。高たんぱく質を期待できる食材キヌアも活用されているようです。

ヨーロッパのハンドボール選手に「食」について聞くと、意外と自主性に任されているということが多いです。
その背景には、習慣として栄養学が身についているという重要なポイントがあると分かりました。

2020年東京五輪・パラリンピックの開催も相まって、日本におけるスポーツの文化度が高まり、アスリートフードへの関心も非常に高まっていると思います。
日本のトップアスリートの成功の陰で、必ず栄養管理が一役を担っているという時代になっています。
日々の食事が身体をつくるのですから、これからの日本のジュニア世代にも食育がもっと浸透し、2020年そしてその先の未来、世界で戦うトップアスリートとして活躍することを願います。

●ジュニア・アスリートフードマイスター
嶋根 理恵 (しまねりえ)
Hula歴10年以上、ウォーキング歴2年。ハンドボール熱血応援歴10年以上。
スポーツ・報道・国際系番組制作会社勤務後、専業主婦に。
製薬会社に勤務する夫の影響で、国内・世界各国における健康へのアプローチを見聞し、「食」と「健康」を考えるように。
食事・栄養面でのサポートで「スポーツの力」の一翼を担いたいという思いから「アスリートのための食事学」を学び始めました。
ジュニア・アスリートフードマイスターの知識と主婦力を家庭の食卓に生かしながら研鑽を積んでいます。

アスリートフードマイスター養成講座はこちら>

カテゴリー: 未分類   パーマリンク