ジュニア・アスリートフードマイスターの岡嵜雄介が
学生スポーツの現場で取組まれている食育の実践をリポートしていきます!
ジュニア・アスリートフードマイスターの岡嵜雄介です。
私のコラムでは、学生スポーツの現場で行われている「食育」を中心に発信していきたいと考えています。
特に「身体を作りたい」、「大きくしたい」というご意見は多くのジュニア・アスリートを持つ保護者の皆様からご要望があるとお聞きします。
このコラムでは身体作りの観点で取組まれている食育現場をどんどん取材して行きたいと考えています。
前回に引き続き第5回目も、ジャンルを飛び出し、学生スポーツではなくプロスポーツの現場、ヨーロッパ野球のオーストリアリーグ(ABL:Austrian Baseball League)の食事情について話をしていきたいと思います。
今回は、 オーストリアリーグに在籍する、坂梨広幸さん・Clemens Cichocki選手にお話を伺いました。
坂梨さんは、現在ABLヴィエナ・ワンダラーズの監督兼投手を務めながら、オーストリア代表U21の監督もされています。また、この度プレスリリースされ、来年度からオーストリア・フル代表の監督に就任されることが決定しております。今回は、そんな坂梨さんが実践されている現地での食事情を質問形式で伺いました。
●一週間の食事スケジュール
基本的に食べ物でストレスをかけたくないので、「食べたいものを食べる」というスタンスを大事にしています。海外に住んでいても自分の体に合った日本食を食べられるように出来るだけ醤油や日本で使用する調味料を使って料理します。青汁も今シーズンから摂取しています。
一週間のスケジュールは、練習が22時まである日は、夕食は軽めにとり、試合前日は必ずスパゲッティボログニーゼと決まっています。試合当日はおにぎりを持参して、試合前、試合中、試合後に1個ずつ食べます。
一週間の食事プランと生活は以下の通り
月曜日
7:00 起床 パン一つ
7:30-9:00 ウェイトトレーニング
10:00 朝食 ご飯、納豆、みそ汁、目玉焼き(卵2個)
10:00-15:00 仕事(練習計画、野球教室等)
15:00-16:00 ストレッチ
16:30昼食 ラーメン
17:00-18:30 打撃練習
20:30 夕食
24:00 就寝
火曜日
7:00 起床 パン
7:30-9:00 ウェイトトレーニング
10:00 朝食(月曜日と同じメニュー)
10:00-15:00 仕事
15:00-16:00 ストレッチ
16:30 昼食 ラーメン
17:00-22:00 練習
22:30 夕食 うどん
24:00 就寝
水曜日
8:00 起床
9:30 朝食
15:00-16:00 ストレッチ
16:15 昼食
16:30-18:00 打撃練習、アジリティ
20:30 夕食
24:00 就寝
木曜日
7:00 起床 パン一つ
7:30-9:00 ウェイトトレーニング
10:00 朝食
11:00-15:00 仕事
15:00-16:00 ストレッチ
16:30 昼食
17:00-21:30 練習
22:00 夕食 うどん
24:00 就寝
金曜日
8:00 起床
9:00 朝食
10:00-14:00 仕事
14:30-15:30 ストレッチ
16:00 昼食
17:00-21:30 練習
22:00 夕食(土曜日試合の場合はスパゲッティ)
24:00 就寝
土曜日(ホーム試合日)
8:30 起床
9:30 朝食
11:30-20:00 試合(ダブルヘッダー)おにぎり3個
21:30 夕食
この様に、うどん以外の夕食はカレーや一人分の鍋(主にキムチ鍋)を作って出来るだけ野菜もとるように心掛けています。その他は、基本的に鶏肉と玉ねぎを使った料理が多いです。
野球はルーティーンスポーツなので、シーズン中は普段の生活もなるべく自分のルーティーンを崩さないように気をつけています。食事もそのルーティーンを重要視しています。
●気になる日本の食材
オーストリアにはアジア人用のスーパーが何店舗かあって、韓国のスーパーで日本の食材を購入します。よく購入する日本の食品は、お米、納豆、うどん玉、醤油などの調味料などが多いです。因みに納豆6パック600円、醤油1.5リットルで約1000円、味噌や調理酒も500ミリリットルで600円~800円ぐらいが大体の相場です。
●Clemens Cichocki(31) 選手の食事情
Clemens Cichocki選手は、オーストリア代表の投手。シーズンMVPに2度選ばれるなど、オーストリアを代表する選手である。
そんな彼の食に対するこだわりは、起床後30分以内にプロテインの多く含まれる食べ物を摂取することで、逆にでんぷん、パン、米、砂糖、パスタ、その他炭水化物の入った食品は一切食べない徹底ぶりです。ただし、1週間に1回は食べたいものを好きなだけ食べるという日を設けています。脂肪はとり過ぎない程度に摂取し、肉・魚・チキン・豆・野菜・卵を基本的に摂取している。
朝食は2~4個の卵に豆とベーコン、昼食は肉と豆、夕食は魚・チキンか、肉と野菜。補食にピーナッツを食べています。
試合当日はいつもと同じ朝食をとり、試合にはゆで卵とソーセージを持参しているようです。Clemens Cichocki選手もルーティーンを大事にしている様に感じます。
このように今回のコラムで取り上げたヨーロッパ・野球オーストリアリーグの食事情では、「ルーティーン」と言う言葉が1つのキーワードになっている。競技制やシーズン通して戦うリーグ戦では、いかに生活のリズムを一定に保つかが、競技のパフォーマンスを維持する上で重要な要素となってくると考えられる。そのリズムの中心に食事があるのは言うまでもないが、リズムを保つために高い食材を購入する坂梨さんの苦悩も垣間見ることができた。今まで学生の食への取組を中心にコラムをまとめてきたが、プロから学ぶ、海外から学ぶべきものは多いようにこのコラム通じて感じるのであった。
●ジュニア・アスリートフードマイスター
岡嵜 雄介(おかざきゆうすけ)
野球歴20年。高校、大学、社会人野球(企業)、独立リーグなどでプレー。
引退後、広告代理店での企画営業を経て、2011年度より教壇に立つ。2012年度の夏のインターハイではホッケー部の監督としてインターハイベスト8進出。2013年度、京都で初めてプロアマ規定解禁の高校野球の指導者となる。
特に学生スポーツにおける「食育」に興味を持ち、日々実践、研究している。
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