ジュニア・アスリートフードマイスター 服部 貴美子が大人アスリートに向けて
「ココロとカラダの健康を保つ」をテーマに皆様にお伝えします!
先週の日曜日、私の住む神戸では「神戸マラソン」が開催されました。残念ながら、今年は抽選に外れて走ることは叶いませんでしたが、ランナーの皆さんがゼッケンの引き換えなどをされるエキスポ会場内で、栄養指導のボランティアをさせていただきました。
スポーツ選手ほどではないにしても、日常的にスポーツを楽しんでおられる方の健康に対する意識の高さには、本当に驚かされます。とくに中高年~シニアの方は、「若い頃は何を食べても健康だったし、徹夜が続いてもピンピンしていたけれど、この齢になると・・・」と、20代・30代の人よりも体のメンテナンスに気を配っておられて、栄養に関する知識も豊富です。
一方で、子どもたちが独立すると、夫婦二人だけ、自分一人だけの食事になり、少量の料理を作ることの難しさを感じたり、調理そのものがおっくうになってきたりといった悩みもあるようです。そのため、コンビニ弁当やインスタント食品でやり過ごしているケースも珍しくありません。「栄養バランスが悪いかなと思うけれど・・・」と罪悪感をおぼえつつ、便利なものに頼っている状態です。
たしかに、コンビニなどで購入したカップラーメンなどを、それ単品だけで食べ続けるとしたら、栄養バランスは悪いでしょう。体を動かす市民アスリートなら、なおさらです。しかし、「朝食はパンとコーヒーだけ」「飲んだ後は、お茶漬けをサラサラ」というケースでも、バランスが悪いのは同じです。先ほど書いた“それ単品だけ”という状態を改善すれば、コンビニ食もインスタントラーメンも、目の敵にすることはありません。
むしろ、最近のコンビニ食には、アスリートにうれしい配慮をしてくれている食べ物もあります。たとえば、写真は某コンビニ店で購入したパンです。
目立つところにカロリーと糖質量の表示があり、裏面にはたんぱく質や脂質など、他の栄養成分についても記載されていました。練習中に補食を取りたいときや、レース参加のため慣れない土地に宿泊しているときでも、こうした表示を参考にしながら組み合わせを考えて買い物するようにしています。とても便利です。
また、インスタントラーメンは、お財布が軽くなっているときの救世主でもあります。袋麺なら100円未満で300キロカロリー程度のエネルギーが摂れるので、残りの予算で必要な栄養を補ってあげましょう。
たとえば、一般的な「焼きソバ」の場合、汁タイプの麺に比べてカロリーや脂肪分の高さが気になりますので、低脂肪・高タンパク質の食材と組み合わせるのがおすすめです。スルメイカが1パイあれば、刻んだ野菜(ニンジン、ネギなど色の濃いものが、栄養価が高く見た目も美しいのでピッタリです)とイカのあしを炒めて焼きソバに混ぜ、それをイカの胴体に詰めて表面を焼くだけで、“イカ飯”風の主食兼主菜の出来あがり! 野菜サラダなどもプラスできれば、さらにバランスが良くなりますよ。
スルメイカのサイズにもよりますが、1パイにつき袋麺1/2程度で作れますので、「インスタントラーメンは脂肪分が多いから」とガマンしていた人も、安心して食べていただけると思います。
食事は、アスリートの体に必要な栄養を補給し、パワーを生んだり、疲れを取り除いたり、筋肉を作ったり修復したりといった大切な役割を担っています。一方で、心に栄養を補給するという役割もあるので、楽しく食べること、ストレスをためずに調理して、健康的な食生活を無理なく長く続けることも大切です。
今回ご紹介した、コンビニ食やインスタント食なども、「あの食べ物は悪だ!」と決め付けず、体にプラスになる食べ方をみつけていけば、旅行や遠征などで食環境が変わったときも健康的なアスリートフード生活を続けることができるでしょう。
●ジュニア・アスリートフードマイスター
服部 貴美子(はっとりきみこ)
プロのライター(記者)として活動中。また、地元・神戸のランニングイベントの実行委員を務めたり、複数のサークルに所属して仲間と一緒に走ったりしています。高校時代に摂食障害を経験したことをきっかけに、食について正しい知識を身につけたいと栄養士の資格を取得。
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