第49回 『勝つ選手』=『食べられる選手』!?

アスリートフードマイスターの池田 清子が
実践している食生活のほか、海外の食事情などについてもお伝えします。

 アスリートフードマイスターの池田清子です。私はマウンテンバイクのプロライダー池田祐樹選手を夫にもち、日々目的に合わせた食事を作ったり彼の所属チーム先でもあるアメリカを中心に海外遠征へ同行したりしています。これから1年間、海外の食事情などを交えて実際のアスリート食についてお伝えしていきます。

 池田選手の得意とするマウンテンバイクレースは、長距離です。高低差のある山道を1日160km走ることもあれば、連日40~60kmを2週間に渡って走るステージレースもあります。過酷な環境で継続して良いパフォーマンスを出さなければいけないのですが、トップ選手は口々に言います。『勝つ選手=食べられる選手』だと。特にステージレースでは、レース直後にガツガツ食べられる選手とそうでない選手とでは、徐々に結果として差が現れてきます。それは実際理にかなっていて、糖質やたんぱく質をゴール後30分以内に摂取した場合は4時間後に摂取した場合と比べて、エネルギーを蓄えるグリコーゲンの貯蔵量がグンと多くなるのです。
 彼もかつてレース後はあまりにハードな運動量の為、食べ物は愚か飲み物すら受け付けなかったとか。今は更に身体も心も鍛えられ、ゴールしたその足で意識も朦朧とする中でもしっかり飲んで食べています。強くなると同時に、胃腸もしっかり鍛えられているのですね。

 2年程前まで自転車の世界を全く知らなかった私ですが、海外のレースでは日本以上に食事面でのフォローがしっかりしている様に感じます。エイドステーションでは勿論のこと、特にゴール地点でのフードサービスは素晴らしいです。例えば、アメリカコロラド州で行われる6日間の『ブレックエピック』というステージレースでは、名物のおじさまが選手一人一人に好みのサンドウィッチを作ってくれます。これをモチベーションにゴールを目指す選手もいるそうです。水、リカバリードリンク、コーラ(大人気!)、オレンジやスイカ・バナナなどのフルーツ、ポテトチップスなどのスナック、クッキー、エナジーバー、チョコレート、生クリーム&チョコレートたっぷりのサンドウィッチetc…(もちろん全て無料!)中でも、疲労回復に効果的な糖質とクエン酸を含むフルーツはとてもいいですね。選手同士健闘をたたえつつ、レース後も競争する様に食べています。

レース(試合)時間が長い程、ゴール後30分以内に食べることを意識し、翌日に疲労を残さない様に心がけたいですね。国内外問わず、選手がチョイス出来る環境になるとよいなと思いますが、フードがないレースではサポーターに持っておいてもらう・事前に用意しておくなどの工夫をして『吸収のゴールデンタイム』を逃さない!
『食べられる選手』『食べる選手』を目指しましょう。

●アスリートフードマイスター
池田 清子(いけだ さやこ)
アスリートフード研究家。夫はマウンテンバイクプロライダー、池田祐樹選手(トピーク・エルゴンレーシングチームUSA所属)。モデル事務所でのマネージャー経験を活かし、現在は夫のマネージメントを行う。「五感で食べる」をモットーに、カラーコーディネーターの資格を生かした色彩豊かな食卓と、満足感と栄養バランスを兼ね備えた献立を研究する日々。

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