第29回 ぐっすり眠れば、気力も筋力もアップする

ジュニア・アスリートフードマイスター 服部 貴美子が大人アスリートに向けて
「ココロとカラダの健康を保つ」をテーマに皆様にお伝えします!

今年は梅雨入りしてからも晴れて暑い日が多く、寝苦しい夜を過ごしている方も多いのではないかと思います。が、睡眠不足はいろいろな意味で健康の大敵!です。
たとえば、接待などで就寝時間が遅くなったとき、翌朝いつものようにジョギングに出たものの、いまひとつ調子が上がらなかった・・・そんな経験はありませんか? あるいは、仕事が忙しくて睡眠不足が続いている時期に、体を動かすのがおっくうになったり、スポーツの記録が伸び悩んだりすることはないでしょうか。

大人アスリートの皆さんなら、すでに良くご存知でしょうが、質の良い睡眠をとって体を休ませることは、筋肉を育てる上でとても重要。また、慢性的な睡眠不足によってホルモンバランスが崩れたりすると、全身持久力の指標である最大酸素摂取量の数値が悪くなるという研究結果もあるようです。さらに、頭がボーッとして注意散漫になると、練習中の捻挫などケガや事故のリスクも高まりますので、睡眠不足は百害あって一利なしですよね。

 そこで今回は、質の良い眠りを栄養面からサポートする方法について考えてみました。
 眠気をもたらすといわれるホルモンはいくつかありますが、その代表格が「メラトニン」という脳の松果体でつくられる物質です。

その特徴は・・・
・年齢的には、17~18歳をピークに分泌量が低下する
・時間的には、午前0時~2時が分泌のピーク

 高齢者に早起きの人が多いという話はよく聞きますし、私自身も30代後半を過ぎた頃から、「若い頃は、あんなにぐっすり眠れたのになぁ」と感じるようになりましたが、メラトニンの分泌量から考えると、当然のことと言えるかもしれません。
そのうえ、夜遅くまでテレビを観たりパソコンで作業をしていたり、寝るときに灯りをつけたままにしていると、ますます快眠から遠ざかってしまいます! メラトニンは、日が落ちる頃から分泌が始まり、朝の日を浴びると分泌が止まるので、夜になったら部屋の照明も少し落として、深夜0時までには真っ暗な寝室で横になっているのが理想的。

そこまで徹底するのは無理だとしても、太陽の動きに逆らうような“昼夜逆転”の生活をしているとメラトニンの分泌が悪くなる恐れがあるので、アスリートとしてのパフォーマンスを上げたいのなら夜更かしはほどほどにしましょう。

 メラトニンはアミノ酸の1つであるトリプトファンやビタミンB6、炭水化物を原料に、いくつかの段階を経て合成されます。途中で合成されるセロトニンは、ストレスに対抗する物質として知られています。ということは、メラトニンを増やす努力をすることで、お昼はストレスを吹き飛ばしイキイキと仕事や趣味に打ち込み、夜はリラックスした眠りでしっかりと休養を取るという、メリハリのついた生活を送ることができそうですね。

【トリプトファンを多く含む食べ物】
牛乳、乳製品、豆乳、納豆、タラコ、スジコ、
アーモンド、そば、バナナ など

【ビタミンB6を多く含む食べ物】
マグロ、カツオ、サケ、サンマ、
牛レバー、鶏レバー、
赤ピーマン、ししとうがらし、にんにく、
バナナ、玄米、ピスタチオ  など

まずは、お昼のうちにメラトニンの原料となる栄養をしっかり取っておくことで快眠のベースを整えておきましょう。反対に、眠りを妨げるようなもの――カフェインなどの刺激物はお昼を過ぎたら控えるよう気をつけて。夕食を就寝の2~3時間前に終えるようにすれば、寝る前に血糖値が高くなりすぎる心配が減りますし、消化器官をしっかり休ませることができます。また、就寝前のアルコールやタバコは血圧を上げる恐れがあるので、ストレスにならない程度にガマンしたいところです。
 夜にジョギングなど運動習慣のある人は、就寝時まで神経が高ぶるようなハードな内容でなければ大丈夫。入浴も同じで、ぬるめのお湯に浸かってリラックスするような入り方なら快眠をサポートしてくれますよ。

参考文献
脳科学辞典(オンライン)
「うつ」が消える食べ方&レシピ(河出書房新社)
栄養素の通になる(女子栄養大学出版部)

●ジュニア・アスリートフードマイスター
服部 貴美子(はっとりきみこ)
プロのライター(記者)として活動中。また、地元・神戸のランニングイベントの実行委員を務めたり、複数のサークルに所属して仲間と一緒に走ったりしています。高校時代に摂食障害を経験したことをきっかけに、食について正しい知識を身につけたいと栄養士の資格を取得。

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