ジュニア・アスリートフードマイスター 服部 貴美子が大人アスリートに向けて
「ココロとカラダの健康を保つ」をテーマに皆様にお伝えします!
9月になっても残暑が厳しい毎日ですが、夏に炎天下でトレーニングを続けた疲れが出ていませんか?今年は、猛暑や水不足で野菜や果物が育ちにくく、お値段もちょっぴり高くなっているようですね。人間の体も、必要な水分や栄養を摂っていないと元気がなくなってしまいます。市民アスリートの皆さんは、運動をしていない人たちに比べると体力に自信をお持ちかもしれませんが、その油断が危ない!
第17回のコラムでジュニア・アスリートフードマイスターの吉野ユリ子さんが解説しておられるように、スポーツで酸素を利用して代謝を行った分だけ、体内で「活性酸素」が多く生成されてしまい、それが体に悪影響を及ぼす恐れがあるからです。
活性酸素がつくられるのは運動時だけではありません。日常生活においても、吸った酸素の約2~3%が活性酸素に変化しています。その量が過剰でなければ、病原体を殺すなどの重要な働きをしてくれますし、少しくらいなら、余った活性酸素を消してしまう力も人間には備わっています。ところが、スポーツで大量にエネルギーを消費して、自分の力では消し切れないほど過剰な活性酸素が出た時は、私たちの臓器や組織まで攻撃する悪者になってしまうというわけです。
そんな活性酸素の悪い働きを抑えてくれる抗酸化物質の代表格は、ビタミンA・C・E。この3つは、まとめて摂ると抗酸化パワーがアップするということで、栄養の専門家たちの間では「ビタミンACE(エース)」と呼ばれています。たとえばビタミンAをつくるカロテンとビタミンCを含んだ緑黄色野菜に、ビタミンEを含むナッツや魚類を組み合わせたサラダなどは、スポーツの後の食事としておすすめですね。
さらに、ビタミンでもミネラルでもないけれど、強い抗酸化作用があるのではないかと注目されているのが、「ファイトケミカル」です。ファイトケミカルは、植物が紫外線の害などから自らを守るために、自ら作り出した物質と言われており、さまざまな種類があります。
たとえば、トマトの赤色の素になっている「リコピン」という色素は、動脈硬化や高血圧の予防や、美肌づくりに効果があるという説があり、今年の東京マラソンではエイドステーションにトマトが置かれていたほどです。
(写真は東京マラソン2013のエキスポ会場にて撮影)
ほかにも、ホウレンソウの緑色は「クロロフィル」、トウモロコシの黄色は「ルテイン」、ブルーベリーの青色は「アントシアニン」、玉ねぎの茶色は「ケルセチン」という色素によるものです。どのくらいの量を摂取すれば有効かという点については未だ研究段階ではありますが、「ビタミンACE」を食生活に摂り入れようと心がけている人ならば、できるだけカラフルな色の野菜や果物を選んでファイトケミカルも同時に摂取し、プラスアルファの効果を期待してみてはいかがでしょう?
カラフルな食材はお料理の見た目を良くしてくれるので「若い頃に比べて食が細くなったかなぁ」とお悩みの中高年アスリートの食欲アップにも効果的! お皿の上でカラーコーディネートするような気分で「色」鮮やかな食べ物を楽しく選び、活性酸素による体のサビを食い止めて、スポーツのダメージを残さない体づくりを目指してください。
●ジュニア・アスリートフードマイスター
服部 貴美子(はっとりきみこ)
プロのライター(記者)として活動中。また、地元・神戸のランニングイベントの実行委員を務めたり、複数のサークルに所属して仲間と一緒に走ったりしています。高校時代に摂食障害を経験したことをきっかけに、食について正しい知識を身につけたいと栄養士の資格を取得。
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