ジュニア・アスリートフードマイスターの岡嵜雄介が
学生スポーツの現場で取組まれている食育の実践をリポートしていきます!
ジュニア・アスリートフードマイスターの岡嵜雄介です。
私のコラムでは、学生スポーツの現場で行われている「食育」を中心に発信していきたいと考えています。
特に「身体を作りたい」、「大きくしたい」というご意見は多くのジュニア・アスリートを持つ保護者の皆様からご要望があるとお聞きます。
このコラムでは身体作りの観点で取組まれている食育現場をどんどん取材して行きたいと考えています。
第2回目は、中学校軟式野球のクラブチーム、向日市野球スポーツ少年団と門真ビッグドリームスの2チームでの食への取組みについてお伝えいたします。
●向日市野球スポーツ少年団の食への取組み
向日市野球スポーツ少年団は、小学部、中学部の2部で構成されている軟式野球のクラブチームで、様々な学校の生徒が集まり活動しているチームである。
今回の取組みは中学部の食への取組みを聞いてきました。
同チームは、クラブチームのため、主に食に関して力を入れているのは土日の練習日になる。
特に日曜日は、昼食に1kgの白米を食べることをチームの基準としている。
その1kgの量は、計量する徹底ぶりである。
一方、土曜日は1kgなどの決まりを作らず、自由な日に設定してある。
この取組みについて同チームの生野武史監督はこう語る。
「食への取組みも自分たちの意志、選手個人が必要性を自分から感じないと続かないし、身にならない」とし、中学生に食にこだわる意義を話し、ミーティングや普段の練習中にも食の話を盛り込んでいる。実際に、自由日である土曜日の食事量は年々増えて来ているという。
●食のアイテム
食事に対して飽きさせない工夫もしている。
向日市野球スポーツ少年団の食のアイテムがおもしろい。
1つ目がおそろいの2リットルタッパーである。
その2リットルタッパーに白米を1kg。おかずは別のタッパーに用意して持ってくる。
みんなで集まっておそろいのタッパーで食事をする光景はなんとも微笑ましい光景だ。
2つ目は、薪ストーブと七輪である。
同チーム森川コーチの「食べるなら温かいものを食べさせたい」という思いから、
炊き出しが始まった。
チームの練習場は、河川敷のため火を使用することができない。
そこで、練炭火鉢を使用して温かいスープや炊き出しを用意している。
冬であれば河川敷は相当冷え込む。
しかし温かい食事が一品あるだけで子供たちの食はいっきに進むという。
冬の練習では、おしるこなどが練習の間に用意されて、食事後でも子どもたちは喜んでおもちを何個も食べるそうだ。
●門真ビッグドリームスの食への取組み
門真ビッグドリームスも様々な中学から集まって結成されている軟式野球のクラブチームである。
練習日は月曜日以外の毎日で、放課後各自集まって練習しているようだ。一見ハードな練習にも聞こえるが、平日は必ず19時半までには帰宅させるようにしている。
同チームの橋口和博監督は言う「練習をいくらしても睡眠のゴールデンタイムと言われる22時から2時を逃しては、身体はできません。」
食事に関しては、1年生は朝昼と1.3リットルタッパにご飯を詰めて来るところからスタートし、成長に合わせて2年生ごろから2リットルタッパにお弁当のサイズも変更していくそうだ。
その成果もあって3年間で36キロも体重が増えた選手もいるそうだ。
ビックリされる数値かも知れないが、この取組みは決して強引ではない。チームの方針としては、好きな物を無理なく全員ができる範囲でやっていくこと。サプリメントは摂取させていないという。
●「お母さん」の協力
同チームは保護者の方、特に母親のサポートが強力である。
監督から月1回チーム全員の体重と体組成のデータがメールで送られてくる。そのデータを「お母さん」も目にすることで親も子どもの体の状況を把握できると言う。
補食でピーナツが良いと聞くと、「お母さん」ネットワークで情報が回るようになっている。
また、日々の食費は掛かるが、その点も「お母さん」ネットワークが活用されている。あそこのスーパーの卵が安いと聞くとその情報をメールで共有しあったりしているそうだ。
今回のコラムで取り上げた中学軟式野球クラブチームの食の取組みは、繊細な心配りと情熱がないとできないと感じた。中学生のうちはまだ体重を気にしなくてもいいのではないかという意見もよく聞く。しかし食への取組みを行って、熱中症がなくなったとか、高校生になって怪我をせず良いスタートが切れる。など両チームも同様の感想が聞かれた。
アスリートの食への取組みは、大人だけではなく、ジュニア世代から必要であり、情熱をもって取組まないと効果を発揮できないとコラムを通じて感じるのであった。
●ジュニア・アスリートフードマイスター
岡嵜 雄介(おかざきゆうすけ)
野球歴20年。高校、大学、社会人野球(企業)、独立リーグなどでプレー。
引退後、広告代理店での企画営業を経て、2011年度より教壇に立つ。2012年度の夏のインターハイではホッケー部の監督としてインターハイベスト8進出。2013年度、京都で初めてプロアマ規定解禁の高校野球の指導者となる。
特に学生スポーツにおける「食育」に興味を持ち、日々実践、研究している。
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